4 Sep, 2017

【イベントレポート】『8/26 METHOD MOTEL SAND CASTLE @ 丸美観光ビル』

music

ここ近年、ことHIPHOPの界隈で特に大きな注目を集めている東海エリア。その本丸ともいえる名古屋を代表する一大イベント、METHOD MOTEL SAND CASTLEが8/26土曜日、丸美観光ビル内の地下から4Fまでの4会場(club JB'S、eight NAGOYA、MOTHRA、FLEX LOUNGE)にて開催された。

 

methodmotel

 

■一夜限りの砂の城


 

イベント自体は恒例でありつつも、予定調和な展開には到底ならないだろうと思わせるスリリングな内容は、隙の無さと少しの遊び心、そして名古屋という街のストーリーを端々に感じさせるラインナップ、さらにはオールナイトのイベントにありがちなタイムテーブルの発表は一切無し、という事前の告知からも既に強く感じられるものであった。

 

有り得ないほどの熱量と個性、絶えることなく集まる人々の群れに終始クラクラしつつも、夏の終わりの狂乱の宴、美しい朝を迎えるまでのレポートをお届けしたい。

 
 

栄に着いて、たまたま出会ったCE$とタクシーで会場へ。ほどなくして着くと、DOWN NORTH CAMPやMdMのメンバーがビル前で談笑しながら迎えてくれた。

 

深い夜の出番にも関わらず、イベントへの胸の高まりをおさえられず早く着いてしまったphoneheadの姿もある。NERO IMAIは会った瞬間からよく分からないテンションだ。ENDRUNやPSYCHO PATCHといった大阪勢も間もなく到着。

 

みんな一様に、夜が待ちきれないといった空気を言わずもがな感じる。

 

methodmotel

 

しかしこの会場には驚いた。筆者もイベントに足を運んだのは初めてで、噂にはよく聞いていたがこの丸美観光ビル。決してそこまで大きくはないビル内に、今回会場となった4つのクラブ以外にも、ライブハウスやサウンドバーなどが各階にひしめきあっており、恐らく日本でも屈指の密集度で大きな音が響く建物の一つであろうと思う。

 

こんなビルが自分の地元にもあれば良いな、そう思わせるには充分すぎるほどの狂った環境だ。ビルの壁には上から下まで所狭しと埋め尽くされた、おびただしい量のステッカーやひび割れたグラフィティがこれまでの歴史を物語り、前の通りの街灯は同じく古びたステッカーがビッシリと貼られ、不思議なほどやんちゃな曲がり方をしている。

 
 

■様々な表情を見せる街の片隅で


 
 

各会場、リラックスしつつもヒリついた緊張感が漂うリハーサルから開場までの時間。

 

methodmotel

 

この日の主宰であるATOSONEと簡単な挨拶を交わす。言わずもがなオープン前でピリついた雰囲気の彼にやや緊張しながらも、招いてもらった中2Fのチケットカウンターの奥には楽屋代わりのスペースがあり、仲間同士のスラングを交えた会話で盛り上がる者、どこの誰だと自分に鋭い眼光を向ける者や、誰にヤラれたのか早くもグロッキー気味に横たわる出演者の姿もあった。

 

NERO IMAIは相変わらずのテンションで、早くラップがしたいと自身のライブ会場ではないJB'Sで勝手にリハーサルをし始めていた。それも、これまたバックDJでもないphoneheadにオケのCDを渡しながら。この2人を繋げたのはサイケデリックなテクノだ。

 
 

主宰のATOSONEやRC SLUM。彼らの魅力はひどく本能的で、身体的な部分にあると思う。そこに垣間見える、溢れるロマンティシズムは人の心を強く惹きつける。

 
 

まだ準備中の会場もある中で、この日最も集客の多かった4FのFLEX LOUNGEにて、大阪からCRONOSFADERがターンテーブルに針を落とし、新旧織り交ぜた屈強なHIPHOPでイベント開始の狼煙を上げる。スピーカーが唸りを上げるような爆音で割れたベースラインを聴くと、いよいよだなとあの場にいた人々は感じたはずだ。

 

イベント途中、昼から何も食べてなかったことを思い出し、MdMのメンバーもよく行くという会場から少し離れた『田分一』へ名古屋の友人に呼んでもらい少しだけ足を運んだ。とても気の良さそうな老夫婦が心のこもった美味しい惣菜やアテを出してくれる。

 

帰り際、カウンター内の親父さんに「今日は何かのイベントか?」と聞かれた友人が「CAMPYとか皆出てますね」と答えると、「ATOSONEによろしくな」と返事が返ってきた。何気ない会話に街の温かさと嬉しさを感じてしまう。

 

methodmotel

 

会場に戻るとより一層溢れかえる人々の群れが待ち構えていた。各階段の踊り場には、目のやり場に困るような焼けた肌のギャルや身体中にみっちりと入れ墨の入った屈強な男、そしてBBOYやパンクス達がごった返す。まだイベントは始まったばかりだというのに、早くも壁にもたれかかり力尽きてしまった客の姿もある。

 

そこら中で飛び交うテキーラやシャンパン、酒や汗の飛沫で次第にベタついていくフロア。おかげ様で靴の裏はネチャネチャで、踏み付けたタバコの吸殻がいちいちくっ付いてくる有り様だ。

 
 

■パーティーを楽しむことに関して一流の人々


 
 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 

methodmotel

 
 

ENDRUNの攻めに呼応するかの如く早くも熱を帯びるフロア

 

PSYCHO PATCHの黒さに絡みつくギャルの群れ

 

まるで古くから根ざしたフッドスターかのような空気に変えてしまう仙人掌の人柄

 

正にスピットという言葉が似合うYUKSTA-ILL

 

NERO IMAIは唯一無二

 

名古屋で見るCOVANは特別だ

 

C.O.S.Aの声はやはり一際デカい

 

CE$のmixは優しく温かい

 

CAMPANELLAのしなやかな強さ

 

TOSHI蝮も姿を見せた

 

FREE BABYLONIA、そしてRAMZAが続けざまに地下で奏でる異形のHIPHOP

 

終始若い男女が出入りするeightでは若手からベテランまでがクラシックから最先端のナンバーを入り乱れるように鳴り響かせる

 

砂漠にただ一つのオアシスかのようにMOTHRAへchill outしに来る客達

 

CJ&JCは東京のアウトサイドを教えてくれる

 

MASS-HOLEは麒麟示を連れてのKINGPINZで歯応え抜群だ

 

ROCKASENは彼方に飛ばしてくれた

 

FOOTCLUBはいつも新しい音楽の踊り方を教えてくれる

 

BUSHMINDはサイケデリックBBOYの名をほしいままにする

 

MC KHAZZは孤独で強い

 

深夜のDMFでは札束が飛び交う錯覚に陥った

 

OWLBEATSは異空間からビートを切り刻んでくる

 

MIKUMARIの愛嬌は笑顔を誘う

 

BLACK GANIONの表現力はケタが違う

 

phoneheadの日々の痛みを洗い流すようなハウスミュージック

 

突然始まった途端にモッシュと大合唱が巻き起こったSLUM RC

 

ORdERの8ビートは心も体も踊りだす

 

ETERNAL STRIFEがかける素晴らしいソウルやレゲエは、終わりを告げるはずの明るくなった客電でさえ味方につけてしまう

 

次々にかけてくれる曲がいちいち素晴らしいせいで、中々パーティーが終わらない

 

ATOSONEが無邪気にマイクを握りながらお前らもう帰れと言う

 
 


 
 

とてもじゃないが書き切れないボリュームの純度と濃度が支配した一夜を反芻しながら、この途轍もないパーティーへの御誘い代わりとなった一通のメールに書かれた一文を思い出していた。『僕らはパーティーを楽しむことに関しては一流です』と。知識、経験、本能と溢れ出る自信に噛み付かれて丸呑みにされた、そんな夜。快楽至上主義型先鋭利益追求集団―。まさに嘘偽りの無い有言実行っぷりに、ハッとなりあらためて感嘆した。

 

語弊を恐れずに言えば、あれだけの不良たち、そして決して相容れないのでは、と思わせるような多様な人種が集まってよく喧嘩沙汰の一つも無かったものだ。ATOSONEが過去に発したもので『ハードとナード』という話があったことも思い出す。ともに欠けてはならない存在であることを、誰もが噛み締めていたかのような眩しい朝。

 

通りを挟んだ向かい側では名残惜しそうな人々が、静かに音の鳴り止んだ砂の城を眺めながら不思議と皆同じようにビルの写真を撮っていた。その光景がまた何とも美しく、代え難い多幸感に包まれたのだった。

 

methodmotel

 
 

■ RCSLUM
https://twitter.com/rcsrecs
https://atosone13.wixsite.com/methodmotelsd

 
 
Photos & text by TimelessTimes

page top

page top>